ヘテロ型家族性高コレステロール血症に対しては薬(スタチン)を用いた治療が大変よく効きますが、その治療ではホモ型に対してはあまりよく効きません。そのような患者さんに対しては次のような治療法があります。
1) LDL-アフェレーシス(血漿交換療法)
LDLコレステロール(悪玉コレステロール)だけを吸着するカラムに血液を流すことにより、LDLコレステロールだけを吸着除去し、その他の成分や、HDLコレステロール(善玉コレステロール)は吸着されないで通過しますので、副作用もなく何年でも継続治療できます。ちょうど腎臓の透析療法のような治療です。この治療は長期間安全に継続できます。
LDL-アフェレーシスの治療装置 | 長期間LDL-アフェレーシスを長期間行った ホモ型家族性高コレステロール血症の一例 |
2)肝臓移植
LDL-アフェレーシスでの治療は生涯継続する必要がありますので、根本的な治療は肝臓移植です。生体肝移植が日本で1例行われており良い結果が報告されています。薬物療法やLDL-アフェレーシスでの治療が行われても十分な効果が期待できない例では適応です。
3)遺伝子治療
家族性高コレステロール血症はLDL-レセプターの遺伝子異常ですから、根本的な治療は遺伝子治療となります。世界では5例程度試みられていますが、十分な効果はありませんでした。今後、さらに効率の良い遺伝子治療ができるまではほとんど行われる可能性はありません。
4)薬物療法
最近コレステロール低下剤が非常に強力となってきましたので、そのような薬剤である程度の効果が期待できます。しかし、必ずしも十分な治療とは言えません。