最近10年間で家族性高コレステロール血症の治療は飛躍的に進歩いたしました。非常にすばらしい薬が開発されています。とは言っても、遺伝的な体質が根本的に変わることはありません。食事療法や薬物療法で悪玉コレステロールであるLDLコレステロールの値を下げる治療を行います。
● 食事療法での治療は、次の点に注意します。
1)カロリーを制限して標準体重を目指します。
2)動物性脂肪を制限し、植物性脂肪にします。
3)コレステロールの多く含まれる食べ物を避けましょう。
4)食物繊維を多くとりましょう。
食事療法を徹底しても、家族性高コレステロール血症患者さんの血清コレステロールの値はなかなか下がりません。そのような時は次の薬物療法での治療が必要です。
● 薬物療法での治療
薬はスタチン系薬剤と陰イオン交換樹脂を用いた治療が有効です。とくにスタチン系薬剤は有効で、血中のコレステロール値が350mg/dlあった人が薬で220mg/dlに下がることも珍しくありません。
しかし、薬を中断すれば1週間以内に元の数字に戻りますので、薬で下げていることがわかります。
家族性高コレステロール血症にスタチンを
投与すれば血清コレステロール値は低下する。
投与を中止すれば元の値に戻る。
● 薬で下がらない場合
後で述べますようにLDL-アフェレーシスでの治療が有効です。